不動産の名義変更手続き

【決定版!】相続による不動産の名義変更をプロが徹底解説!

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亡くなった方が土地建物マンションといった不動産を所有していた場合、それら不動産は相続を契機に名義を変更する必要があります。

 

具体的には、不動産の名義人は登記という形で広く公にされていますから、不動産の名義変更不動産登記という形で実現します。


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相続による不動産の名義変更について、司法書士などの専門家がていねいにご相談いたします。

 


【1】不動産の名義変更(相続登記)はいつまでにする必要がありますか?

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相続税の申告には法律によって期限が設けられていますが、不動産の名義変更(相続登記)には期限がありません。その理由は、登記をすることは不動産の名義人のメリットになることなので期限を設けなくてもきちんとやるだろうという国家の判断があります。一方、税金はできれば払いたくないですから、相続税の納期限はしっかり定められています。


登記をしなかったことによるデメリットも不動産の名義人が負うことになり、当事者が不利益を被っても国家は痛くもかゆくもありませんから、「やりたければどうぞ」といわば自己責任になっています。

【2】不動産の名義変更(相続登記)をするメリットは? 変更しないデメリットは何?

相続による不動産の名義変更は当事者全員の合意がないとすることができませんので、不動産の名義変更を登記することによって、その不動産が誰のものであるか当事者間においてはっきりと分かるようになります。

また、不動産の名義変更を登記という形で完了させないと、自分が所有者であることを第三者に対して主張することができません

相続人の方はご自身が所有者であることは当たり前と考えても、第三者はそう考えてはくれません。被相続人が遺言によって相続人以外の人に遺贈(遺言による贈与)したかもしれませんし、被相続人が生前に売り払ってしまっていて、

そもそも該当の不動産が相続財産ですらない(亡くなったときには他人のものだった)可能性もあるからです。

不動産の名義変更を登記という形で完了させないと自分が所有者であると第三者に対して主張することができないとは具体的にどのような場面で問題になるかというと、

例えば当該不動産が投資物件で他人に賃貸していた場合、賃借人に自分が新しい所有者になったことを主張することができません。

またこの不動産を売却しようと思っても、買い手はあなたが不動産を本当に相続したのか確認できませんから、売却も思うようにできないでしょう。

不動産の名義変更(相続登記)の7つのステップ

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まず最初に何が相続財産で(What)、誰が相続人で(Who)、どのように分配するか(How)を特定し、決定しなければなりません。次いで、その決定を正確に登記することとなります。

 

大まかにいって、不動産名義変更の手続きは、次の7つのステップからなっています。


ステップ1:相続した不動産の特定

まず、相続した不動産の個数を特定します。被相続人(亡くなった方)が遠方に相続人が知らない土地を持っていたというケースだけでなく、自宅が2つ(2筆)の土地の上に建っている場合、さらには自宅に通じる私道が共有地である場合など、しっかり調査しないと意外に見落としが生じがちです。

調査で漏れてしまった不動産は名義変更をせずに放置されてしまうことになりますし遺産分割協議のやり直しなどということにもなりかねませんので、しっかり調査しましょう。

ステップ2:相続人の確定

被相続人の所有していた不動産を特定したら、次は相続人を確定させます。戸籍を遡ってみたら、実は前妻との間に子供がいた等という場合のほか、相続を放棄した人がいる場合や、廃除された相続人の有無などを考慮する必要があります。

ステップ3:誰が何を相続するか決定

遺言書がある場合で遺言書の通りに相続する場合、遺言書があるが相続人全員の合意で遺言書とは異なる内容で相続する場合、遺言書がない場合で法律で定められた相続分どおりに相続する場合、遺言書がない場合で法定相続分とは関係なく協議によって決める場合など、いくつかのパターンに分かれます。

ステップ4:名義変更書類の収集

不動産の名義変更をするためには、申請書のほかに添付書類を沢山つけなければなりません。それらを収集します。

ステップ5:登記申請書類の作成

登記申請書を作成したり、添付書類を提出できる形式に整えます。

ステップ6:いざ法務局で申請!

管轄の法務局で名義変更としての相続登記をします。

ステップ7:事後対応

法務局からの問合せに回答したり、名義変更の結果を受領したりします。

ステップ1:相続した不動産を特定しよう!

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不動産の名義変更は一度に全部の不動産について行う必要があります。漏れがあると場合によっては遺産分割協議のやり直しなどにもつながるおそれがありますし、二度手間を避ける意味でも着実に行いましょう。


1 相続人が把握している不動産(What)の特定

相続人が把握している不動産については、とくに問題がないでしょう。法務局に行って、土地や建物の不動産登記簿を取得するだけです。

不動産登記簿を取得するためには、住民票に記載されている住所では取得することができず、「所在と地番」又は「所在と家屋番号」が必要です。「所在と地番又は家屋番号」は、不動産の権利証のほか、固定資産税の課税明細書に記載されていますが、

正確な住所を法務局まで持参すれば調べる方法がありますからあまりご心配は要りません。

 

また、法務局で公図を確認することで、土地がどのように区分けされているかを確認することができます。道路から自宅までの小道は他人との共有された土地であることもありますし、1棟の建物がいくつもの土地に建っていることもあります。

このような事実は不動産登記簿を眺めるだけではなかなか判明しませんので、公図を確認しましょう。

2 相続人が把握していない不動産(What)の特定

相続人が把握していない不動産はどのようにすれば見つけることができるでしょうか?

 

実は完璧な調査方法というものがないので、いくつかの合わせ技でみつけることになります。

 

王道のやり方は、権利証で確認する方法です。土地・建物を取得した時に、必ず権利証を受領します。権利証は自分が土地・建物の権利者であることを証明するとても大事な書類なので、亡くなった方は必ずどこかに保管しているはずです。処分してしまうということがおよそ考えられない書類です。

預金通帳など他の貴重品と一緒に貸金庫の中などに保管されていることが多いです。

比較的最近取得された不動産の場合には、登記識別情報通知書という名前の書類を探してみましょう。それが「権利証」です。

 

もしすでに把握している不動産に抵当権がついている場合で「共同担保目録」が作成されている場合には、その不動産と一緒に共同担保に差し出されている他の不動産を確認することができます。

 

あるひとつの債権の担保として、1つの不動産だけでなく、複数の不動産を差し出す場合に、その債権のために担保として供せられたすべての不動産をまとめて記載しておく目録が「共同担保目録」です。したがってもし「共同担保目録」が作成されている場合は、その中の土地・建物に未発見の相続財産が含まれている可能性があります。

 

次によく用いられるのは、固定資産税の課税明細書です。これには、固定資産税の課税対象である土地・建物が列挙されています。

逆に言えば、固定資産税がかからない評価の低い土地建物はこの書類には記載されません。

 

不動産の所在の把握に用いられるもうひとつの書類が「名寄帳」です。これは市区町村が、人物ごとに所有する土地・建物を一覧にしている便利な書類です。

名寄せとは、名前毎にひとつにまとめるという意味です。名寄帳を取得すればその市区町村内に被相続人が所有する不動産を一覧で確認できます。

ただしこの方法にも限界があり、どの市区町村役場に土地所有の可能性があるか検討がつかない場合には効率の悪い方法です。

ステップ2:相続人(Who)の確定

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相続財産である不動産が特定できたら、次は相続人を確定することになります。

 

分配するモノは特定できたので、あとはそれを誰が分配するのかというヒトの特定をする必要があります。


 

まず戸籍謄本によって、相続人が誰かを確定します。配偶者はいるのか、子はいるのか、直系尊属はいるのか、兄弟姉妹はいるのかといったことを戸籍によって確認します。

配偶者や直系尊属の存在は比較的すぐに明らかになることが多いですが、子や兄弟姉妹などの存在は相続人が存在を知らないこともあり、面倒な作業になることもあります。

 

第二順位の相続人が相続するためには第一順位の相続人が存在しないことを証明する必要があり、第三順位の相続人が相続するためには第一順位と第二順位の相続人が存在しないことを証明する必要があります。

「存在すること」を証明することよりも、「存在しないこと」を証明することの方が難しいので、最終的には証明をギブアップする方法を使う場合もあります。

 

亡くなった方の直近の戸籍謄本を取得すれば、それで被相続人が生まれてから亡くなるまでのすべての情報や親族の情報が一覧のもとに把握できるかのように思われている方も多いのですがそうではありません。

戸籍謄本には、基本的には親子一代限りの情報しか載りません。また転居するたびに本籍を移されている方の場合には、その度毎に新しい戸籍が作成されます。

また婚姻によっても新しい戸籍が編製されます。

このようにいくつかの要因によって同一人物の戸籍が複数の市区町村にまたがっていくつも存在するような状況が生じている可能性が大きいのです。

通常は、亡くなった方に関係する複数の戸籍謄本を取得してはじめて、自分が相続人であることやご自身の相続分を証明することができるようになります。

ステップ3:誰が何を相続するか(How)決定

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相続財産である不動産(What)相続人(Who)を特定できたら、次はどのように(How)分配するかを確定することになります。


まずは遺言の有無を把握します。遺言があった場合、原則として遺言の通り相続しますが、相続人全員の合意があれば遺言とは違う方法で遺産分割をすることもできます。

遺言書もなく、遺産分割協議も成立しない場合には、民法で定められた法定相続分どおりに相続することとなります。

 

遺言書には主として自筆証書遺言公正証書遺言の2種類があります。

自筆証書遺言は、被相続人が自筆で作成した遺言書です。自筆証書遺言は相続人が勝手に開封することができないため、家庭裁判所で開封することとなります。

これを「検認」と言います。

公正証書遺言とは、被相続人が公証役場の公証人にお願いして作成してもらった遺言書です。公正証書遺言の有無は、全国どこの公証役場でも調査することができます。

 

遺言書通りに不動産を相続して名義変更する場合や、不動産を法定相続分で相続する場合にはこのステップは省略することができます。

一方で、遺言書は残されているけれど相続人の全員が他の方法での遺産分割を望んでいる場合などは遺産分割協議を行うこととなります。

 

遺産分割協議は、法定相続人の全員が参加しなければ行うことができません。

協議の結果をまとめた遺産分割協議書には、すべての相続人が実印を押印する必要があります。

 

もし相続税がかかるだけの相続財産がある場合は、遺産分割の方法について専門家に相談された方が良いでしょう。どのように分割するかによって相続税がまったく異なってくることはよくあることです。

専門家のアドバイスのもとに遺産分割の方法(誰が何を相続するか)を変更することで、数百万円単位の相続税を軽減できるというケースはざらにあります。

相続税の節税を考える場合には、今回の相続だけでなく、次回の相続までを考えないとうまくいかず、ここまでを考慮した分割プランの考案は、素人ではまず無理とお考え下さい。

相続税が絡まない相続の場合は、相続人全員が集まっての話し合いでみんなが納得できる分割方法があればそれが一番好ましいと言えます。

ステップ4:不動産の名義変更書類の収集

家の名義変更

何を(ステップ1)、誰が(ステップ2)、どのように(ステップ3)相続するかが決まったら、あとはそれを間違いなく正確に登記に反映させて名義変更をするだけです。

 

不動産の相続登記に必要な書類を把握しましょう。


 

【遺言書のとおりに不動産を名義変更する場合の必要書類】

 

・遺言書(自筆証書遺言の場合は家庭裁判所による検認が済んだもの)

・戸籍謄本 

・亡くなった方の戸籍の附票 ※本籍地入り住民票除票で代替可能な場合も

・新しく所有者となった相続人の住民票 ※マイナンバーの記載のないもの

・固定資産評価証明書 ※市区町村役場又は都税事務所で取得

・委任状 ※場合により

 

【民法で定められた相続分のとおりに不動産を名義変更する場合の必要書類】

 

・戸籍謄本

・亡くなった方の戸籍の附票 ※本籍地入り住民票除票で代替可能な場合も

・新しく所有者となった相続人の住民票 ※マイナンバーの記載のないもの

・固定資産評価証明書 ※市区町村役場又は都税事務所で取得

・委任状 ※場合により

 

【遺産分割協議に基づいて不動産を名義変更する場合の必要書類】

 

・遺産分割協議書

・遺産分割協議書に押印した者全員の印鑑証明書

・戸籍謄本

・亡くなった方の戸籍の附票 ※本籍地入り住民票除票で代替可能な場合も

・新しく所有者となった相続人の住民票 ※マイナンバーの記載のないもの

・固定資産評価証明書 ※市区町村役場又は都税事務所で取得

・委任状 ※場合により

取得すべき戸籍謄本についての考え方

戸籍謄本は通常複数取得する必要がありますが、まずは市区町村役場で「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本をください」と主張してみましょう。

不動産の名義変更のために必要な戸籍謄本の基本的な考え方は、次の戸籍謄本を収集することです。

a.被相続人の出生から死亡までを確認できる戸籍謄本

b.相続人が相続人であることを証明するための戸籍謄本

 

b.の相続人が相続人であることを証明するための戸籍謄本とは、同順位又は先順位の相続人がいないことの証明とお考えください。

例えば、配偶者のみが相続する場合は、相続人となる可能性がある子がいないことを証明する戸籍謄本です。

子のみが相続する場合は、相続人となる可能性がある配偶者が離婚や死別などの理由で存在しないことを証明する戸籍謄本です。

直系尊属が配偶者とともに相続する場合は、先順位である子が存在しないことを証明する戸籍謄本です。

兄弟姉妹が配偶者とともに相続する場合は、先順位である子と直系尊属が存在しないことを証明する戸籍謄本ということになります。

 

実際には市区町村役場で相談しながら収集していけばよいので、時間はかかりますが、分からなくて中断してしまうことはないでしょう。

ステップ5:登記申請書類の作成

不動産名義変更

不動産名義変更をする際には、雛形をベースに登記申請書を作成していきます。雛形は各論の解説ケージに掲載していますのでダウンロードしてお使いください。


【登記申請書の記載のしかた】

 

<原因> 

亡くなった方の死亡日を記載します。

 

<相続人の住所> 

添付する住民票の記載のとおりに表記します。○丁目△番地□号を「○-△-□」などと省略しないようにしてください。

 

<課税価格>

・収集した最新の固定資産評価証明書の不動産の評価額を確認します。

・固定真評価証明書に記載されている評価額の1000円未満を切り捨てた金額が課税価格です。

 

<登録免許税>

・課税価格に0.4%を乗じます。

・0.4を乗じて得た結果の額の100円未満を切り捨てた金額が登録免許税額です。

 

<不動産の表示>

・土地は、不動産登記簿に記載されているとおりに、「所在」「地番」「地目」「地積」を記載します。

・建物は、不動産登記簿に記載されているとおりに、「所在」「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」を記載します。

ステップ6:いざ法務局で申請!

不動産名義変更

不動産の名義変更は、不動産を管轄する法務局で行う必要があります。管轄の法務局はインターネットで調べましょう。

不動産名義変更書類の完成度にどれだけの自信があるかによって、持参による申請にするか郵送申請にするか決めましょう。

 

あまり自信がなければ、いきなり書類を送りつけるよりも、持参されて相談の上で申請をされたほうが良いです。


ステップ7:事後対応

書類に不備がある場合は法務局から電話がかかってきますので対応します。登記申請書に記載する連絡先電話番号は正確に記載してください。

 

特に問題がない場合はそのまま登記され、後日、登記識別情報通知書が送られてきます。

これがいわゆる権利証ですから、登記識別情報を他人にみせたりせず大切に保管してください。

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