不動産の名義変更手続き

共有名義不動産の売却など、共有不動産の8つの共有解消法!

共有名義不動産 売却

不動産が共有名義になるきっかけとしては、そもそも購入時に資金を出し合うなどして購入の当初から共有だった場合と、所有者が死亡したことにより複数の相続人で共有状態になった場合と大きく2つに分けられます。

 

そして、不動産がどのような経緯で共有になったにせよ、共有者同士が仲が良いうちは大きな問題になりませんが、ひとたび共有者同士の仲が悪くなってしまうと手が付けられない状態になってしまいます。

 

この不便さは、不動産ですと問題が顕在化しづらいですが、「高価な指輪」が誰か1人の持ち物ではなく、2人や3人の共有になっていることをお考えいただければ、いかに扱いが面倒な状況かが分かります。

使いたいときに使えず、売りたいときに売れず、それならば所有している意味がないではないか、というわけです。

 

不動産の「共有」状態は、民法の物権や相続に関する規定により生み出された状態なので、「共有の解消」もまた、民法に従って考えていくことになります。

以下では、共有名義不動産の売却をはじめとした、共有不動産の8つの共有解消法についてご説明します。

 

不動産の共有を解消するための8つの方法

 

【目次】

1.あなたを含めた共有者全員が、第三者に売却する

2.  あなただけが持分を第三者に売却する

3.他の共有者全員があなたの持分を購入する

4.共有者のひとりが、あなたを含めた他の共有者の持分を購入する

5.あなただけが持分を放棄する

6.他の共有者と持分を交換する

7.土地そのものを分筆する

8.  訴訟を起こす

 

共有不動産の共有解消法①:全部売却(第三者へ)

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こちらは不動産の共有者でるA・B・Cの全員が、第三者Xに対してそれぞれの持分を売却することにより、不動産が丸ごとXの所有物になるという方法です。共有状態はXの単独所有となるため解消されます。

不動産登記簿には「共有者全員持分全部移転」と記載されます。

 

第三者Xが支払った不動産全部についての代金は、共有者ABCの持分に応じて分配します。おカネはきれいに割り切れますので、共有者全員に公平な解決となります。

 

不動産の売却は「共有物の処分」に該当しますので、共有者全員がこの売却に賛成しなければとることができない解決方法です。例えば共有者のうち、Aの持分が10分の6、Bの持分が10分の3、Cの持分が10分の1であった場合、AとBは売却の意向を持っていても、10分の1しか持分がないCが反対すると、この方法はとることができません。Cの持分が100分の1であっても同様です。

 

共有者間の意思疎通がうまくいっている場合の解決法と言えるでしょう。

 

共有不動産の共有解消法②:持分売却(第三者へ)

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こちらは不動産の共有者A・B・CのうちAだけが自分の持分を、第三者Xに対して売却することにより、Aのみが不動産の共有から離脱する方法です。この場合は、不動産を元の共有者B・Cと、Xの三者で共有することになります。

したがって不動産の共有は解消されませんが、特定の共有者Aのみが共有から解放されます。不動産登記簿には「A持分全部移転」と記載されます。

 

Aが自分の持分を第三者Xに処分する際には、法律上、他の共有者の同意は必要なくAの意思で自由に行うことができます

 

この共有解消法もよく利用されますが、不動産の共有関係に第三者Xが登場するので、できれば避けたい方法です。

しかし、共有者全員そろっての第三者への売却も反対者がいてすることができず、かといってその反対した共有者が売却を希望する持分を買い取ってくれるわけでもないときには、最後に選択せざるを得ない方法と言えるでしょう。

 

話し合いをしてもなかなか共有関係を解消できない場合には、Aは自己の権利行使として、自己の持分を売却することができるのです

足元をみて買いたたかれることのないよう、不動産鑑定士の中立的な査定を参考に売却価格を決めましょう。

 

共有不動産の仲介に特化している不動産会社として、テレビCMで有名な「センチュリー21」株式会社中央プロパティなどがありますので検討してみましょう。

共有不動産の共有解消法③:持分売却(他の共有者へ)

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こちらは不動産の共有者Aが、自分の持ち分を他の共有者であるB・Cに買い取ってもらう方法です。

Aのみが不動産の共有状態から解放され、その後はBとCが共有することになります。

不動産登記簿には「A持分全部移転」と記載されます。

もちろん、共有者AとBが他の共有者Cに持分を売却することにより、Cの単独所有にすることもできます。

 

こちらの方法は、売却後の共有関係に第三者が登場しないので、前項で解説した方法よりも、できれば取りたい方法ではあります。

 

共有者は通常は親族など親しい関係のことが多いですから、格安で譲ってあげるということもあるかもしれません。

しかし市場価格から乖離した価格で売却すると、売却ではなく贈与とみなされて贈与税の対象となることがありますので要注意です。

 

共有不動産の共有解消法④:持分買取(他の共有者から)

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こちらは不動産の共有者Aが、他の共有者BとCから持分を買い取って、Aの単独所有とする方法です。

不動産を今後Aのみが使用する場合は、BとCから持分を買い取ってしまった方が権利関係がシンプルになります。不動産登記簿には、「BC持分全部移転」と記載されます。

 

Aが今後も単独で不動産を使用することを望んでいる時には、最も優先して検討される共有の解決方法です。

 

共有不動産の共有解消法⑤:持分放棄

共有不動産売却

こちらは不動産をABCの三人で共有している場合に、共有者の1人であるAが自分の持ち分を放棄することにより、不動産をBCの共有とする方法です。放棄なので、放棄した人に金銭は支払われません。

民法は共有者が持分を放棄すると放棄された持分は、法にしたがって自動的に他の共有者に帰属するものとしています。

Aのみが放棄して不動産がBCの共有となる場合、不動産登記簿には「A持分全部移転」と記載されます。

AとBがそれぞれ自己の持分を放棄すれば、不動産はCの単独所有となります。この場合は不動産登記簿に「AB持分全部移転」と記載されます。

 

不動産に価値がある場合はなかなか放棄という手段は取りづらいですが、不動産に見るべき価値が無いような場合には、実務でも時折選択されます。

 

共有不動産の共有解消法⑥:交換

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不動産が複数あり、どれも同じ価値の場合に、共有者同士が持分の交換をすることにより、各不動産を単独所有とする方法です。

例えば、被相続人(X)が同じ敷地に2棟の同じタイプの賃貸アパートを所有していたとします。Xが死亡して、長男Yと次男Zが2人で相続しました。

すると当初アパートAとアパートBは、おのおのYとZの共有になっていますが、アパートAのY持分とアパートBのZ持分を交換すると、アパートAはZの単独所有に、

アパートBはYの単独所有となります。アパートAの不動産登記簿には「Y持分全部移転」、アパートBの不動産登記簿には「Z持分全部移転」と記載されます。

 

これは共有された不動産が複数あり、どの不動産も価値が等しい場合には、実務でも多く見られる不動産の共有名義解消法です。

不動産の価値に差異がある場合も可能ではありますが、その差分が贈与とみなされ、贈与税の対象になる可能性があります。

 

共有不動産の共有解消法⑦:土地の分筆

共有不動産売却

共有不動産がマンションなどではなく更地である場合には、共有状態の不動産を分筆して複数の土地に分けてしまう方法もあります。

1筆の大きな土地を三人で共有するのではなく、3筆の土地に分けて、それぞれを各人が単独所有する方法です。

 

これもスマートな解決方法と言えますが、共有者の全員が分筆に同意する必要があります。

また、元々の持分の割合に応じて土地を切り分ける必要がありますので、不動産鑑定士の助力が必要となります。

羊羹を切るようにきれいに分けられれば良いのですが、往々にして土地には個性があるため、そこがネックとなる場合が多いです。

また、建築基準法上、建物の敷地は道路に2メートル以上接していなければならないという接道義務がありますので、居住用土地をさらに小さな土地を分筆することは困難な場合があります。

 

共有不動産の共有解消法⑧:共有物分割請求訴訟

当事者の努力で共有不動産の共有関係が解消できない場合には、共有物分割請求訴訟を裁判所に提起することも考えられます。

しかしこの方法の問題点は、原告が望む共有物の分割方法を裁判所に強制することができない点です。不動産が最終的にどのような方法で分割されるのかが訴え提起の段階では分からないのが最大の難点とされています。

 

このため当事者の話し合いで共有不動産が処分できないとき、多くの共有者は自己の持分を第三者に売却する道を選ぶことになります。

 

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